卵子凍結(社会的適応)

    卵子凍結のメリット・デメリット

    【メリット】

    加齢と共に卵子の数は減っていきます。また、卵子の染色体異常の確率が高まり、妊娠率が低下し、流産率が上昇します。若い頃の卵子を凍結保存しておくことで、妊娠しやすい期間を引き延ばすことができ、卵子を凍結した年齢の妊娠率と流産率を維持することが期待できます。

    【デメリット】

    卵巣から採卵する際

    • 卵巣刺激により、卵巣過剰刺激症候群(卵巣腫大、腹水貯留による腹痛、腹部膨満感)を起こすことがあります。(OHSS(卵巣過剰刺激症候群):ARTによる卵巣刺激では6.6%~8.4%、入院を要するものは0.8%~1.5%|出典:日本がん・生殖医療学会ウェブサイト)
    • 採卵の際に、出血が起こる場合があります。(重篤な腹腔内出血:発生率約0.1%|出典:日本がん・生殖医療学会ウェブサイト)
    • 卵巣を穿刺(採卵するために腹腔に針を挿入すること)しても、正常な卵子が採れない場合があります
    • 採卵に伴い細菌の混入による発熱や膿瘍の形成などの可能性がありますので、予防のため採卵の前後に抗生物質を使います。(骨盤腹膜炎(感染症):発生確率0.05%)

    凍結卵子を融解し使用する際

    • 凍結した卵子が、融解後に死滅、変性している場合があります。凍結・融解後の卵子の生存率は80~90%程と言われています。
    • 凍結した卵子が融解後に生存していても、その後の顕微授精、体外培養の過程で死滅、変性し、移植できない場合があります。
    • 凍結した卵子から発育した胚を移植しても、妊娠できない場合があります。
    • 上記のことから、卵子凍結は将来の妊娠を約束したものではありません。