活性酸素:体をサビさせてしまう酸素
私達が掛かる病気の90%近くが「活性酸素」に起因していると言われています。
また信じがたいことですが、マイロン・ポリコーブ(カリフォルニア大学名誉教授)とルードビィヒ・ファイネンデーゲン博士(米国エネルギー省医学顧問)の重要な論文によると以下のことが発表されています。
『毎日我々の体細胞中のDNAは活性酸素によって100万箇所で傷付いているが、様々な修復酵素でその損傷を殆ど修復しており、どうしても修復しきれなかった細胞はアポトーシスなどを起こして破壊除去されると言うことがわかった。』
これが体細胞60兆個に起こっているのですから、私達の体にがん細胞は毎日3千個は出来ていても全く不思議ではありません。それらを毎日免疫細胞が破壊してくれていますので、活性酸素を増やすことや免疫細胞の機能を落とす生活をしてはいけないことがおわかりになると思います。
不妊治療も加齢に伴う流産率の増加は、抗酸化力の低下と関係していることが多くの論文で示唆されています。また精液所見の不良な方の抗酸化能が低下していることも多数見られるようになりました。是非これからは「不妊」と「抗酸化能」をキーワードに考えて頂ければと思っております。
2013年10月10日のクローズアップ現代に驚異の身体能力を持つ”スーパー高齢者”の話題が有りました。「八代のウサイン・ボルト」の異名をとる90歳の俊足おばあさんである、守田満さんの食生活を見て、さらにびっくりです。朝食には、豚肉6枚、生卵など。昼食にはうなぎ、さらに夕食には焼き肉。高齢者に不足しがちな、たんぱく質やビタミンなどが十分に摂れるようなメニューなのです。 と有ります。そのパワーと健康の秘密が上記の様な食生活に有る事は間違い有りません。
現代の不妊患者さんの多くは、栄養状態を解析すると栄養状態が良くない方達ばかりで、不妊治療というよりは栄養障害を治してゆくのが不妊治療の本道のように思えてなりません。
栄養学的には”1日の必要量=体重1kg当たり1g”と云われています。ちなみに体重50kgの女性なら”卵7個、ステーキなら700g”必要と云われています。これを毎日摂っている人はまずいないので、殆どの患者さんが低タンパク状態なのですが、低タンパクの方は”血管内脱水=血液濃縮”が起こっているために医師がデーターを見て「良いじゃないか」と云われる方も多いかと思います。困ったものです・・。これは、私もそうでしたが、医師が高タンパク食を摂取するとどうなるか患者さんをずっと経過を見た事がないのが原因です。高タンパク食を摂ってもらうと、総タンパク質が低くなり、血液濃縮していた多くのデーターが下がり、一過性にコレステロール値が上昇し、電解質濃度が中央値に近づいてきます。患者さんがタンパク質を頑張って取っていても上昇しないので、医師は患者不信に、患者はこんなに頑張っているのに何故?何故?と葛藤が生じてきます。でもそれが始めから分かっていれば良いのですが、栄養療法をされていない先生方は殆どが栄養療法に不信感を抱くのがこの時でしょう。
でも、スーパー高齢者が居るように、栄養の大切さを忘れてはいけないと思います。