【妊活中のサプリメント】ビタミンA、大丈夫? 赤ちゃんのための正しい選び方

2025.04.23栄養

【妊活中のサプリメント】ビタミンA、大丈夫? 赤ちゃんのための正しい選び方

妊活や不妊治療に取り組む中で
栄養バランスを整えるためにマルチビタミン・ミネラルサプリメントを
活用されている方は多いと思います
栄養は妊娠の準備にとても大切ですが
サプリメントの選び方については、特に気になる点もありますよね

先日、患者さんから「飲んでいるマルチビタミンに含まれるビタミンAは
妊娠したときに赤ちゃんに影響がないか心配です」というご質問をいただきました
ビタミンAの過剰摂取が胎児の奇形リスクを高める可能性がある、
という情報を耳にして不安に感じていらっしゃる方は、他にもいらっしゃるかもしれません

今回は、妊活中・妊娠中のビタミンAサプリメントの選び方について、
大切なポイントをお伝えします

<ビタミンAには種類がある!知っておきたい「レチノール」と「β-カロテン」>

まず知っておいていただきたいのは
ビタミンAには大きく分けて2つの種類があるということです

●ビタミンA(レチノール、パルミチン酸レチノールなど):
主に動物性食品(レバー、うなぎ、バター、卵黄など)に含まれます。
サプリメントでは「ビタミンA」「ビタミンA脂肪酸エステル」「パルミチン酸レチノール」
「酢酸レチノール」などと表記されることが多いです
これは「活性型ビタミンA」とも呼ばれ、体内でそのまま利用されます
(細胞膜を通過し、DNAに混乱を招く可能性があります)
過剰に摂取すると体内に蓄積しやすく、
妊娠初期の過剰摂取は、胎児の先天異常のリスクを高めることが報告されています

●プロビタミンA(β-カロテンなど):
主に緑黄色野菜(にんじん、かぼちゃ、ほうれん草など)に含まれます
サプリメントでは「β-カロテン」「β-カロチン」「デュナリエラカロテン」などと表記されます
これは体内で必要な分だけビタミンAに変換されます
必要な量しかビタミンAに変換されないため、
β-カロテンとして摂取する分には、ビタミンAの過剰摂取による
リスクは基本的にないと考えられています
(変換率があまり良くない弱点もあります)

つまり、妊活中や妊娠中に注意が必要なのは、
「レチノール」などの活性型ビタミンAの「過剰摂取」であり
「β-カロテン」からの摂取であれば、その心配はほとんどないということです

<日本のサプリメント表示、少し注意が必要?>

以前、患者さんとの会話の中で
「最近のマルチビタミンは、ほとんどβ-カロテン由来ですよ」と
お伝えしてしまったのですが、その後ドラッグストアなどで確認したところ
必ずしもそうではないことに気づきました
申し訳ありませんでした(>_<) . 日本のサプリメントでは、成分表示に単に「ビタミンA ○○μg」や 「ビタミンA ○○IU」と書かれている場合、 それが「レチノール」なのか「β-カロテン」由来なのか、分かりにくいことがあります . 「ビタミンA」とだけ書かれている場合、 多くはレチノール(またはその誘導体であるパルミチン酸レチノールなど)を 指している可能性があります 含有量の単位としては、国際単位「IU」や「μg RAE(レチノール活性当量)」が使われます 特に「レチノール」という言葉がなくても 「パルミチン酸レチノール」などが原材料名に記載されていれば、それは活性型ビタミンAです (補足:「μg RAE」はβ-カロテンなども含めたビタミンA全体の量をレチノールに換算した値ですが、サプリメントの成分表示では、レチノールそのものの量を指していることが多い印象です) . そのため、「ビタミンA」という表示だけを見て安心するのではなく、 原材料名や成分表示の詳細を確認することが重要です (それらが記載されていないものは、そもそも商品として信頼ができないです) . <妊活中のマルチビタミン選びのポイント> . では、妊活中にマルチビタミンを選ぶ際は、具体的にどうすればよいのでしょうか? ポイント1:ビタミンA源として「β-カロテン(β-カロチン)」と 明記されているものを選びましょう。 . ポイント2 :成分表示を確認し「ビタミンA」の項目で 「(β-カロテン由来)」「β-カロテンとして」といった記載があるか または「β-カロテン ○○μg」のように独立して記載されているかを確認します . ポイント3 :原材料名を確認 し「デュナリエラカロテン」や 「β-カロテン」といった記載があるか確認します 一方で、「ビタミンA脂肪酸エステル」「パルミチン酸レチノール」 「酢酸レチノール」といった記載がある場合は、活性型ビタミンAが含まれています . ポイント4 :両方含まれる場合が! 製品によっては、レチノールとβ-カロテンの両方を含むものもあります その場合は、レチノールとしての量が過剰にならないか(耐容上限量※ を超えないか)を 確認する必要があります . . <安心して栄養補給するためのまとめ>  ビタミンAは、皮膚や粘膜の健康維持、視覚機能など、体にとって不可欠な栄養素です しかし、妊娠を考える時期には、その摂り方、特にサプリメントでの摂り方に注意が必要です 大切なのは、リスクのある「活性型ビタミンA(レチノールなど)」の過剰摂取を避け 安全性の高い「β-カロテン」で補うように心がけることです (※妊娠期のビタミンA(レチノール活性当量)の耐容上限量は 日本では2,700 μgRAE/日とされています。) . サプリメントはあくまで食事の補助です 基本はバランスの取れた食事を心がけ、 その上で必要な栄養素をサプリメントで賢く補っていきましょう あなたの妊活が実りあるものになるよう 栄養面からもしっかりサポートさせていただきます . 表示が分かりにくい場合や判断に迷う場合やサプリメント選びで迷ったら 自己判断せずぜひ一度ご相談くださいね . . 管理栄養士