夜の主食抜き、ケトン体を目指す食事法について

2025.04.05栄養

夜の主食抜き、ケトン体を目指す食事法について

治療と並行して、「妊娠しやすい体づくり」のために何ができるか
模索されている方も多いと思います

さて、当院の院長先生は、妊活中の体づくり戦略の一つとして、
「夜は主食(ご飯、パン、麺類など)を抜き、
体がケトン体を作り出す状態を目指す食事」を推奨しています
「夜だけ主食抜き?」「ケトン体って何だろう?」と疑問に思われる方も
いらっしゃるかもしれません
今回は、この食事法についての院長先生の考えと、
管理栄養士としての視点やアドバイスをお伝えしたいと思います

【院長先生が「夜の主食抜き」を勧める理由】

院長先生がこの方法を推奨する背景には、主に以下の考え方があります

<血糖値の安定>
夜に糖質の摂取を控えることで、就寝中の血糖値の急上昇・急降下を防ぎます
血糖値の乱高下は、ホルモンバランスにも影響を与える可能性があると考えられています

<インスリン感受性の改善>
特に多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)など、
インスリン抵抗性(インスリンが効きにくくなる状態)が背景にある場合、
糖質制限によってインスリンの過剰な分泌を抑え、感受性を改善する効果が期待されます

<ケトン体の活用>
主食を抜くと、体はエネルギー源として糖質の代わりに脂肪を分解し始め
「ケトン体」という物質を作り出します
このケトン体が、体の炎症を抑えたり、
細胞のエネルギー効率を高めたりする可能性が研究されています
夜間にこの状態を作ることで、睡眠中の体の修復や調整機能をサポートしようという狙いです

【管理栄養士からのアドバイス:実践する上でのポイント】

院長先生の考えを踏まえつつ、管理栄養士として皆さんに実践のヒントと注意点をお伝えします

<「抜く」だけでなく「何を食べるか」が重要>
主食を抜いた分、タンパク質(肉、魚、大豆製品、卵など)や
良質な脂質(青魚、ナッツ、アボカド、オリーブオイルなど)
そしてたっぷりの野菜(特に葉物野菜やきのこ類)をしっかり摂りましょう
これらは妊娠体質のための体の材料となり、満足感も得られます

<栄養バランスは一日で考える>
夜に主食を抜く分、朝食や昼食では、玄米や全粒粉パンなど、
食物繊維やビタミン・ミネラルを含む質の良い糖質を適量摂ることも大切です
極端な糖質制限は、かえってエネルギー不足や栄養バランスの偏りを招く可能性があります

<水分補給を忘れずに>
ケトン体が作られる過程では、体内の水分が使われやすくなります
意識してこまめに水分を摂るようにしましょう

<ストレスにならない範囲で>
食事は毎日のこと
厳しい制限がストレスになってしまっては逆効果です
「今日は少しだけご飯を食べたいな」という日があっても大丈夫
ご自身の体調や心の声に耳を傾けながら、できる範囲で試してみましょう
.
<個別性が大切>
体重が少ない方、持病のある方、消化能力が弱い方など、この方法が合わない場合もあります
必ず自己判断せず、医師や管理栄養士にご相談ください

【最後に】

夜の主食抜き・ケトン体を目指す食事法は、あくまで体づくりのアプローチの一つです
この方法が「すべての人に有効」「必ず妊娠できる」というわけではありません
大切なのは、ご自身の体質やライフスタイルに合った方法を見つけ
栄養バランスの取れた食事を基本としながら、ストレスなく続けられることだと考えています

当院では、管理栄養士が皆さんの食生活について個別にご相談に応じています
「私の場合はどうかな?」「具体的に何を食べたらいい?」など
気になることがあれば、いつでもお気軽にお声がけくださいね

皆さんの妊活が実りあるものになるよう、食事の面から精一杯サポートさせていただきます

管理栄養士