ビタミンDと「生殖と妊娠」の関連

2024.11.06栄養

ビタミンDと「生殖と妊娠」の関連

ビタミンDについて前回に続き、今回は「妊娠」「生殖」との関連です
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ビタミンDは生体内では、ステロイドコレステロールのグループです
卵巣、子宮、胎盤、精巣に ビタミンD受容体であるVDR が存在することから
ビタミン D は生殖生理学において調節的な役割を果たしていると考えられています
ただ生殖生物学におけるビタミン D の役割を説明する文献は少なく
現段階では相関関係の論文報告が中心となっています
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男性では
ビタミン D と VDR シグナル伝達が
精子形成、精子成熟、精巣内分泌機能に役割を果たしていることを示唆されています
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女性では、
多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS)の女性における
血清 25(OH)D レベルとインスリン抵抗性、高アンドロゲン症の特徴、
循環アンドロゲンとの間に逆相関関係があることが特定されています
ビタミンDが低値だとインスリン抵抗性が高い、高アンドロゲン症(PCOSの悪化)が
考えられるということです
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またビタミン D 欠乏症と月経前症候群、子宮筋腫、月経困難症、初潮早期との関連が
報告されています
その他
ビタミン D 欠乏症は非遺伝性の乳がんのリスクであること
子宮内膜症患者の血清中にビタミン D 結合タンパク質 (VDBP) の発現が
有意に高いことが示唆されています
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妊娠中においては
副甲状腺ホルモン関連タンパク質 (PTHrP) や胎盤ラクトゲンなどの胎盤ホルモンは
妊娠中のビタミン D 恒常性の調節に関連すると報告されています
母体のビタミン D 欠乏症がある場合
子癇前症、妊娠糖尿病 (GDM)、帝王切開による妊娠・出産のリスクを高めます
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不足している方は、積極的なビタミンD補給が妊娠そして妊娠中にも重要です
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管理栄養士
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*参考文献*
Luk J, Torrealday S, Neal Perry G, Pal L. Relevance of vitamin D in reproduction. Hum Reprod. 2012 Oct;27(10):3015-27. doi: 10.1093/humrep/des248. Epub 2012 Jul 23. PMID: 22824625; PMCID: PMC3695598.